○サイパン再び
インストラクターS氏のアパートに泊まった私たちは、翌朝早くにホテルまで送ってもらいました。
どうやらYちゃんとS氏はかなりいい感じになったようです。
私はその時多くをYちゃんから聞き出しはしませんでした。
自分の中に少し妬っかみもあったんだと思います。

私たちは沢山の思い出を胸にサイパンをあとにしました。

サイパンから帰って、2週間後私はYちゃんと食事をしました。
それはサイパンで撮った写真の交換のためでした。
そこでYちゃんは思わぬことを言ったのです。
「私、今月末で仕事を辞めるでしょう。そしたら、サイパンへ行ってSさんと暮らそうと思ってるの。Sさんも呼んでくれてるし。」
仕事を辞めることは前々から決まっていたけど、一緒に暮らすってどういうこと!?
まぁ、好きになったら命がけ!のYちゃんのことだから、こんなこともありかな・・・と思い、私は
「そうだね。行って来なよ」と言ったのでした。

それから、さらに2週間後。
Yちゃんはサイパンに行ってしまいました。
落ち着いたら手紙を書くから・・・とだけ言い残して。
私は「ヒマなときにでも読んで」と言ってYちゃんに数冊の小説をいくつかのCDを渡しました。

しかし、Yちゃんからは手紙も電話もなく、気が付けば夏も終わろうとしていました。

○突然の帰国
それはある日突然のことでした。
Yちゃんからから電話がかかってきたのです。
「私ね、昨日、日本に帰ってきたの。
Sさんも今週中には日本に帰ってくるわ。」
サイパンで暮らすと言っていたYちゃんの帰国は思いがけず早くて、何があったのか聞いてみると・・・
 ・S氏の勤めているフィッシングツアーの会社(日系企業)が業績不振でサイパンから撤退することになった。
 ・S氏はその会社の契約社員だったので、その次点で契約が切れ失業。
 ・S氏のアパートは会社で借り上げているものなので、撤退と同時に立ち退かなければならない。
 ・S氏はサイパン島内で仕事を探したが見つからず、所持金もなかったのでアパートを借りることができなかった
こんな感じの理由でS氏、Yちゃんともども帰国せざるを得ない状態になってしまったのだそうな。

帰国後もS氏とYちゃんはそれなりに付き合っていたようです。
私は帰国後S氏に一度だけ会いました。
サイパンで見たときより少し色が白くなって髪が伸びていたけど、相変わらず格好良くて
「ああ、Yちゃんが羨ましいなぁ」
と心底思ったりもしたのでした。

○S氏サイパンへ
しばらくは日本でバイトをしながら暮らしていたS氏ですが、彼にはまたサイパンで働きたいという強い思いがありました。
S氏は以前S氏のアパートで私の横で眠っていた元インストラクター仲間のA氏と一緒に再度サイパンへ行くことを決めました。
しばらくは現地の仲間のアパートを点々としながら、仕事を探すと言うのです。
Yちゃんももちろん着いて行きたいと言う思いはありました。
でも、まだ仕事も部屋も決まってない状態でYちゃんを連れて行けるはずもありません。
「仕事が見つかって少し落ち着いたら、また必ず呼ぶから。
それまで待っていてくれ」
Yちゃんに言い残し、S氏はサイパンへまた旅立って行きました。
このときYちゃんが空港で見たS氏の最後の姿になろうとは、誰が予測できたでしょうか。

※ここからが架橋です。続きは明日。

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